前回より “高機能” “アスペルガー”タイプのお子さんの学習を取り上げています。
この投稿では、中学進学後の課題・トレーニングをご紹介したいと思います。
小学校6年間を支援学級に在籍していたEくんですが、中学では一般学級に進学します。 やや稀なケースかもしれませんが、知的発達・学力面での遅れが少ない子は、進学時に選択肢の一つになります。

小学校高学年で「問題解決学習」に取り組んだEくん、中学に上がると 写真のように「困りごとを自分で想定してみる」という学習をしました。
この頃には、行動範囲・自己判断の幅も拡がっています。生活の中で (こんな事あったら困るな~)という出来事を仮定し、解決方法を考えさせました。
小学生時代と同様、ふさわしい答えを出せることよりも、自分の頭で考え 表現する言葉を探すことを重視しています。
とはいえ、なかなか上手い仮定ができています☆
ー経験したことのない場面を想定するー
苦手な方が多いのではないでしょうか。実際、「やったことないから分からないし」「想像できないよ」というお子さんが多数派です。(皆さん初めはね…考えられるように、先生と練習しますよ♪)
中学という これまでと異なる社会で、Eくんは 日々迷いもがいていたことでしょう。
しかし、3年後は さらに広い社会に出ていくことになります。周囲と関わりながら 困りごとを解決する力をつけていけるよう、また、将来の自立に向けた学習&トレーニングを続けていました。
一方で、勉強進度についていけるかどうかは、あまり気にしていませんでした。生活面・コミュニケーション面の問題がクリアできていれば、それらの次に続くものだからです。
療育としての学習は、引き続き社会性を高める概念学習に重きをおき、「国語」「算数」といった教科学習は 家庭や塾で補完してもらいます。
中学生期に、指導者として私が気に掛けていたことです。
・就労までの生活イメージ
・級友、担任とのコミュニケーション
・失敗や不安の解消方法
特に3つ目は、以前「どうせ僕は支援学級だもん。そんなことはできないんだよ!」と、家族に反発してしまった経験をもつ Eくんだからこそ。
公共マナーを家族に諭された時、イラっとして口走ってしまった言葉ですが、ご両親は、彼が≪どうせ~だから無理だ≫と、否定的・悲観的になること、それにより自己コントロールできなくなることを心配されました。
発達障害をもつことを言い訳にしてほしくない
何かをあきらめる理由にしてほしくない
これをきっかけに、障害告知についても 現実的に考えるようになったと伺いました。結果としては、「特性であるし、苦手なことがあるのは確かだけど、乗り越える方法を一緒に考えていけるね」と、折をみて告知することにしたそうです。

10歳頃から”家族の役割”として 様々な家事に挑戦してきました。動作そのものだけでなく、「何のために」「どういう工夫で」といった、これまた重箱の隅的な問題を 考えさせられてきたEくん。時々???な見解はありましたが、ご家族と一緒に取り組んできた過程さえも目に浮かぶような 頼もしい説明を書けるようになりました。
【○○の手順を絵・文字で順番に示す】という方法は、有効的な支援ではありますが、
ーその絵で その言葉で ご本人がどこまで理解しているのか
ー実際の動作とマッチングできているか
この学習のように確かめておくことは、QOLを高め 他者とのやりとりを豊かにするために欠かせないと考えます。


また、中学校の後半には 自分自身を客観的にとらえることも課題にしていました。
得意なことも苦手なことも ある程度把握しておくことにより、不意に困ることが減った印象でした。長所も書けるようになったことは、喜ばしいことです。
高校進学、その先の就労をどうするのか、といった懸案も 当然出てきます。
Eくんは、高校受験をすることを決めました。
・勉強は嫌いじゃないから できる所まで頑張りたい
・一人か二人 親しい友達がいれば十分だし、トラブル元になるような言動は自制している
・何か困ったら 家族や先生に言える
私が心配していた3つのことは、いつの間にか こんな風に乗り越えられるようになっていました。
それぞれの時期を振返り書いていると何とも懐かしい気分になりますが、その当時は たわいないやりとりをしながらも 常に真剣勝負でした。
蒔くべき種を蒔くべき時季に…蒔けたかどうか、水遣りと陽射しが充分だったかどうかは 正直わかりませんが、最後のレッスンでの彼の姿には「よくぞここまで」と感慨深いものがありました(;_;)/~~
―問題を受け止め、道を切り拓く力をつけてもらえるように―
進学した時。社会に出てから。
誰かの手助けをもとめることが多いかもしれません。
周囲からの助言や指導を快く受け入れられる人であってほしい。
投げ出したり自己否定したりすることなく、前に進む具体的な術を身につけていってほしい。
このような願いの下、レッスンをしています。
一つの課題を考える度に、【言葉】の奥深さを感じずにはいられません。
学習ステップに関心をお持ちくださった方は「コロロ発達療育センター」HPを参照ください。
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